2014年 07月 03日
川上徹也「negicco(ねぎっこ)の成長ストーリーこそマーケティングの教科書だ」(祥伝社)を読む
地方アイドル「ねぎっこ」を、長く続くマーケティングの例として評価し、経営的に分析した本という体裁。「企業が生活者(消費者)と一緒に新しい価値を生み出していく」という方法が「顧客満足をめざす」今の方向の次に来たるべきものであるという理論で、コトラーなる学者の理論の援用して当てはめているという。成功例も時々挿入されている。
もちろん、そういう経営本的な部分もあるが、途中、彼女たちの十年の歴史が書いてあったりして、全体として彼女たちを紹介する本のようになっている。経営本というより、中年でファンになったオヤジが、色々彼女たちのことを調べて書きましたといった体のアイドル・ファン本であるといったほうがてっとり早い。
出てくる彼女たちの情報は、インターネットでぐるっと一回りして、映像やインタビューなどを観たり読んだすると得ることのできる既出のものがほとんど。ネタの出典はあまり新鮮ではない。ネット中心で調べるとこういうものが出来上がるという典型的なもの。今やこのくらいの情報は、ファンなら半日で読み尽くし観尽くしてしまうのではないか。(ただ、それを集約して纏めた労力はもちろんあるとは思うし、知らない人向きといえばそれでいいのかもしれないが。)
後書きに、この本が彼女たちのブレークの最後の背中押しになってくれるといいとあって、そうしたバックアップしたいという思いの溢れた本でもある。まあ、堅いことを言っても仕方がない。DVD買ったのと同じように彼女らの名前のついた本を買ったと思えば、そんなもの。彼女たちが踊っているカラー頁も4頁ついています。