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四方君の葬儀

 金沢市民文学賞受賞の詩人四方健二君が、先週、逝去した。体調が落ちているという話は聞いていて、愚妻は当時の同僚らと何度かお見舞いに足を運んだが、男というのはこんな時に腰が重く、全然顔を出していないのに急に顔を出すのも憚られ、躊躇しているうちに会えぬままになった。
 あの頃の同僚に死去を伝える電話をしたが、その同僚も同様のことを言っていた。愚妻も躊躇したというが、女性は何人かでワイワイ行くといく手があり、そんなところは圧倒的に女性のほうが優れている。変な気兼ねをせずに即行くということができなかった分、後悔が湧く。
 先だって、某校の図書室か ら、掲示で四方君の詩の特集をするので、本人の許可をとってほしいと依頼があり、彼のいる病院に行く用事がある愚妻に仲介を頼んだ。
 しばらくして、こんな形になりましたと、彼の詩を書道にして掲示してある写真が送られてきたので、愚妻が持っていった。亡くなる二日前のことであった。こちらとしては、最後にちゃんとその写真を渡すことが出来てよかったという思い。手元にあるままに亡くなったら、残念感が残るところであった。司書さんからは、この企画を思いついたのは、なにか虫の知らせみたいなものがあったのかもしれませんというメールをいただいた。彼女は、昔、四方君の朗読交流会に小学校のお子さん連れて聴きに来てくれた人である。その子も今は大学三年のはず。
葬儀は彼の自宅のある能登半島先端近い小木の葬儀場にて。雪の残る能登里山道(旧能登 有料道路)を、超低速で恐る恐る行った。制限速度も自動車専用道にもかかわらず時速40キロ制限。
 葬儀では、朗読会で声のでない彼に代わって、いつも詩を朗読をして戴いていた地元放送局の金子美奈アナウンサーの思いのこもった弔電が印象的であった。末文は「四方さんの声、金子より」というもの。確かに、その言葉通り、彼女は彼の詩をイメージ豊かに読み上げ、四方君の詩の声であった。
 帰りは当時の同僚が同乗し、当時の思い出話や近況などを話をしながら帰った。四方君はよくこうして昔の仲間と会わせてくれた。合掌。さようなら。
 
by hiyorigeta | 2015-02-15 20:48 | 文学・ことば | Trackback | Comments(0)

荷風散人宜しく金沢をぶらぶら歩きし、日々の生活をつづります。テーマは言葉・音楽・オーディオ・文具など。http://tanabe.easy-magic.com/


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