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やめるということ

 Negicco情報収集のため自然とアイドル情報に詳しくなっている。特にレーベル仲間とか共演歴のあるグループは、どんなグループか判ってくる。アップアップガールズ(仮)やエスペシアはライブも観たし……。レーベルメイトで発足して一年ばかりの中高生ユニット「アイドルネッサンス」も昨年のレーベル感謝祭の映像で知って、今年の感謝祭で上手くなっていたので、プロモーション・ビデオを見るなどして、ちょっとリサーチした。このグループは昔の曲をアイドル曲としてリニューアルするのがコンセプト。村下孝蔵の「初恋」や大江千里「You」などが彼女たちの歌声で生きかえって、年寄りは新鮮に聴ける。
 というように、色々見聞きしていると、どのグループも 結構メンバーが抜けていくということに気がついた。
 大阪がご当地のエスペシアなど、一昨年に一名抜けたが、昨年、メジャーデビューを果たし、フルアルバムが今度出るタイミングで、5名中3名抜けることが発表された。アルバムが出てもアルバム通りのパフォーマンスがもはや出来ないという事態。当分苦しい戦いが続く。
 発足して間もないアイドルネッサンスも去年一人辞めている(この業界では「卒業」という)。落ち目ならわかるが、共に上り調子でなぜ辞めるのか、外部のものには判らない。
 ただ、今や、なんでもアップの時代。ライブ途中で辞めるアナウンスが入り、楽しんでいたファンが凍り付く様子や、最後のスピーチで本人やメンバーが泣いている様子もネットですべて判る。
 本当の理由はよくは判らないが、この業界が見た目以上に大変だということは、私もだんだん判ってきた。急な合わせでも間違えずにダンスや歌が出来る。あちらこちら飛び回って各種イベントに常に笑顔で参加。時間が不規則。学業との両立など……。一般の思春期の子供にしては,過酷な負荷とスケジュールをこなさねばならない。華やかな世界で、実際、普通の女の子が味わったことのない華やかな経験も沢山できるが、普通なら味わわなくてもいいプレッシャーも多く味わう。大人が設定したお金が絡むある種の「事業」なのだから当然で、子供だからといってお目こぼしはない。
 観ているこちらは、もう孫のような女の子が頑張っている様子に、ほのぼのとして、「頑張れ!」と応援しているだけなのだけれど、愚妻などは、つまりは「女子の商品化」だという点がえらく気にかかるらしい。
 おそらく、彼女たち、自分から好き好んで「商品化」に飛び込んだということに、ある程度の経験を積んだあたりで、気がついてくるのだろう。そんな側面を判りつつ、しなやかに乗り越え伸びていくというのは、年端のいかない中高生アイドルたちには、確かに高度なハードルのような気がする。
 どうしてもおこる学業遅滞、学校卒業時のその後の進路選択、地方から東京進出という活動拠点の移動の問題、見通しの不透明な将来……。犠牲にしているものはあまりに大きい。
 そう想像すると、上り坂であっても途中で去っていくのも判る気がしてくる。それを見つめる残った組の心情が複雑なのも……。そして、それを映像などで観るファンの心理もまた充分複雑である。ファンは彼女たちの成長を支えようとし、挫折を自分のことのように心悲しむ。また、同じような位置づけの他グループが何人集客したと自分の推しグループと較べて一喜一憂。つまり、ファンとアイドルとの関係は、ほとんど親子関係である。
 先日、カメラなど色々なオタク趣味の中で、アイドル趣味が一番お金を落とすという統計が出ていたが、子供にお金を落とすのは親として当たり前と考えれば納得できる。

 ということで、昨年に引き続き新潟のNegicco推し中なのだが、さて、ここは加賀百万石の御城下。気位が高い土地なので、金沢で、リスクが高いこの道に積極的に自分の娘を歩ませようとする親は、そう多くないのではないかと想像する。もしかしたら、なぜ娘に河原乞食のマネをさせねばならないのかというような発想をする年寄りもまだまだいるような気もする。金沢にもご当地アイドルはいるにはいるようだが、おそらく新潟と違ってアイドル文化は根付かないと思う。
 AKBグループがほぼすべてを牛耳っているこの業界。それと「ももいろクローバーZ」「モー娘。」以外は、本当に弱小で、草の根で頑張っているところばかり。判官贔屓の血が騒ぎ、Negicco以外の弱小グループも結構ネットで見聞きするようになってきている。「まなみのりさ」「ベイビーレイズJAPAN」も頑張れ。
 というわけで、愚妻はNegiccoだけならともかく、他のグループのリサーチにまで精を出し始めた私を見て、このオッサン、ドップリのアイドル・オタクになっていくのではないかと、鋭意、警戒中のようである。
 大丈夫、大丈夫(……と思う)。
by hiyorigeta | 2016-02-02 20:36 | 日々の生活 | Trackback | Comments(0)

荷風散人宜しく金沢をぶらぶら歩きし、日々の生活をつづります。テーマは言葉・音楽・オーディオ・文具など。http://tanabe.easy-magic.com/


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