2016年 02月 18日
オーディオ今昔
パイオニアは見る影もなく、いつのまにかオンキョーとくっついているし、ケンウッドは昔のビクター(JVC)とくっついている。オーディオ製品のラインナップも寂しいかぎり。昔評価を得たものを多少衣替えして出し続けているにすぎない製品も目につく。デジタル部分を付加する動きはそれなりに活発ではあるものの、斜陽の感はぬぐえない。
特に日本のスピーカー分野は全面撤退一歩手前のような惨状で、ミニコンポ・レベルのものしか出していないメーカーもある。昔は魅力的な製品を出していたところなのに……と残念な気持ちでいっぱい。
東芝は不正会計問題を受けての業績不振。シャープは会社存亡の危機的状況で台湾の会社に取り込まれることとなりそう。つまり、日本の電機メーカーは全体的に弱体化している。オーディオ雑誌の紹介記事がほどんと外国製品になるのも無理からぬことである。私の製品選びも、本当は日本製がいいのだが、そもそもこちらの希望価格帯にいいものがないので、決定打に欠けて困っている。
ひさしぶりに大型家電量販店のオーディオコーナーに行っても、昔あれだけズラッと並んでいた売れ筋十万以下のミニコンポでさえ種類がない。シルバー色の本体の両脇にスピーカーが立つという、あの定番の姿の製品さえ全然売れなくなっているようだ。ソニーからは単に黒い直方体にしか見えない製品が出ている。スマホやデジタルプレーヤーを使ってブルーツースで飛ばすから本体につまみはいらないことになった。そんなルックスが今の住居空間には似合っていて、つまみがずらっと並ぶあの定番の格好は古くさく若者には見えるのだろう。実際、音楽好きの職場の若い女の子のオーディオはこのブラックボックスのみだと言っていた。
男の収納術みたいなムック本を買ってみたが、若者向けで役に立たず、失敗したなと思って積ん読してあったものを、今度はイマドキの若者はどういう音響ライフを過ごしているだろうかという視点で、再度、載っている何十人分の若者の部屋写真を眺めてみた。さすが男の子、大抵オーディオ機器が置いてある。但し、ほとんど中央にテレビを置いてのビジュアル中心。左右のスピーカーが同じ場所に重ねて置いてあるステレオ音場無視の配置の人もいて、こちらはびっくり。中にアナログプレーヤーがある部屋がいくつかあった。一部若者に静かなブームという噂は本当らしい。それに、みんな本がないなあ。
いずれにせよ、重量級でかさばる純オーディオのプリメインアンプを買って、家にドンと設置しようと思っている段階で、イマドキのライフスタイルからは遠く離れていることは間違いなさそうである。「どうせ年寄りの生活である。なにもイマドキに合わせる必要はない」と割り切るしかなさそうである。