二〇〇一年のウィーンフィル

 先日、久しぶりに生で聞いたベートーベン交響曲第四番。CDで復習しているということは前に書いた。実は、生でこの曲を聞いたのは、計算すると十六年ぶりのことのようだ。
 石川県立音楽堂開館記念事業として、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団金沢公演があって、前から五列目くらいのかぶりつきでこの曲を聴いたのは、2001年10月17日のこと。
 この日誌を書き始めたのは二〇〇四年十一月。ということで、この日誌に触れたことは何度もあるけれど、どこにもまとまった記録がない。そこで、ちょっと自分の覚えとしてここにメモする。

 指揮はサー・サイモン・ラトル。コンサートマスターはライナー・キュッヒル。楽団員たちはリラックスしていて、始まる前のオケの様子は、若干、緊張感不足。まあ、極東の、そのまた地方公演だし、致し方ないのかもなあと思った覚えがある。どことなく、さあ、田舎の皆さん、一流のオケの音をお聞かせしますからね、というような鷹揚な態度をちょっと感じたが、まあ、まさにその通りなのであった。確か、メインの東京公演を済ませてこっちに来たのではなかったかしら。
 曲が始まったら、弦はしなやかで木管も美しく、確かにウィーンフィルそのもので、ああ、録音で聴いているあのウイーンフィルの音だなとは思ったのだが、演奏はだから大排気量車が法定速度で巡行して、部分部分にちょっと片鱗を見せたというような印象であった。
 この時、第四番を聴いたのははっきり覚えているのだが、そのほか、何を聴いたのだったかはさっぱり忘れている。調べてみたら、後半は「英雄」、アンコールはシベリウス「劇音楽「クオレマ」~鶴のいる情景」というものだったらしい。
 冒頭演奏曲だったし、四番を生で聞いたのがおそらくその時はじめてだったので、印象深かったのかもしれない。それにしても「英雄」とアンコール曲の印象が全然ないのはなぜだろう。

 確か、おそろしく高額のチケットだった。これも、ウィーンまで行くことは一生ないだろうし、現地に行くことを考えると、この金額も仕方がないかと「清水の舞台」だったのはよく覚えている。
 今から思うと、演奏の良しあしを語れるほどの知識や蘊蓄もなく、耳も肥えていなかった(今も耳が肥えている訳でもないけれど)。ちょっとは演奏の意見が言える耳タコの六番七番だったら、あの当時でさえもっと楽しめたかもしれないという気はある。ちょっともったいなかったなあという気持ち。おそらく聴く人が聴くと、ラトルの解釈の特質は……なんてことも語れるのだろうが、私にはさっぱりであった。

 結局、ウィーンフィルを生で聴いたという事実だけが一生の自慢ということになったのだけれど、こんなの、「出会いのご縁」みたいなもの。後で浅学を残念がっても仕方がない。
 あの頃は中堅で、ウィーン・フィルよりベルリン・フィルのイメージが強いもじゃもじゃ頭のラトルさんも、もう常任を辞任していて、あれから一世代終わった感じである。早いもの。
 以上、今でも覚えている当時の印象。これもちょっと、ある意味、蔵出しシリーズ(?)

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by hiyorigeta | 2017-08-01 22:14 | 音楽・ジャズ・オーディオ | Trackback | Comments(0)

荷風散人宜しく金沢をぶらぶら歩きしたり日々の生活をつぶやいています。文字ばかりですがご容赦下さい。時々日付をさかのぼってアップしたりします。http://tanabe.easy-magic.com


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