2014年 09月 04日
「思い出のマーニー」を観る
原作は海外童話、場所を日本の北海道に置き換えたが、少女マーニーは金髪のまま、洋館・サイロと西洋的な雰囲気を色濃く残す演出がされている。その和洋の対比は、そのまま現実と夢想の「場」の対比となっている。
観客は通しで観ているので、多少、繋がりが唐突な部分もあるのだが、それも、現実・非現実のあわいとして受け入れ、あまり気にならない。
あちらこちらに伏線がはってあるので、マーニーが死んで孫娘が 残されたと明かされた段階で、余程察しの悪い人以外は、自分がもらい子であることに悩んでいた主人公杏奈がその孫であるとわかる。だから、最後の場面で、彼女がもらわれてきた時、洋館の写真を握りしめていたという両者をつなげるクライマックス・シーンは、少々感動を減じることになったが、お話としてすっきり解決がついて大団円を迎えるので、納得の出来る感動的な結末となっている。これまでの不思議な出来事が、自分の出自にまつわる話としてわが身に引き受けた杏奈は、育ての親へのわだかまりが消え、人に心を開く。つまり、大枠は少女の成長物語である。
作画的には、相変わらずジブリらしい緻密さで美しい。ただ、ボートの縮尺がシーンによって微妙に違っていたり、小さなボートの 舳先にタイタニックのように立って、ボードが前傾しないのはおかしいとか、肥った現地の女の子の頭身が大人の縮尺と同じで、子供に見えなかったりとか、本当に小さな小さな違和感はいくつかあった。
女の子同士の秘密ごっこめいた部分などがあって、老年のオッサンには、女の子向けの映画だなあという気が目一杯したが、ファンタジーとしてひととき楽しみ、涙を流した。人生の悲しみと成長が交錯し、観る者は人への思いが強くなる。良作にちがいない。
実は平日の代休、なんとか、「一人だけの平日」を有効に使おうと思って映画館に行ったので、愚妻抜きで映画館に入ったのは本当に久しぶりのことであった。がらがらな映画館(数人のみ)で、なんだか、大学時代の映画のハシゴを 思い出していた。 あの頃も平日はこんな感じだった。
お一人様のランチ。がらがらなショッピング街をブラブラし、お高い食材を買ったりして、のんびりとした外歩きを楽しんだ。夫婦でうろつくのとは気持ち的に違う。
ここのところ忙しく、以後も忙しいので、よいストレス解消になった。