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ジョー・サンプル(P) 死去

新聞を開くと、クルセイダーズのジョー・サンプルの死去が報じられていた。七十五歳。電子ピアノの名手で、あのリリカルでコロコロとしたタッチは大人気を集めた。特に「レインボーシーカーズ」は大ヒット。もちろん愛聴盤。
 クルセイダーズは、私の一二を争う・フェイバリット・バンド。六十年代のジャズ・クルセイダーズ時代はオンタイムでは知らず、七十年代、ジャズがとれて人気が上がってきた頃から知っている。当時は、こうした音楽のジャンルが不分明で、管楽器二本をフロントにしているロックリズムということから日本ではブラスロック的な扱いを受けていた時期もある。ブラスロック好きの当時の私はそれで興味をもったというのが最初だったはず。
 初期時代のお気に入りは、緑のジャケットの「クルセーダーズⅢ」。サンプル、フーパー、フェルダーのリズム隊が生み出すファンク感は、もうずっとリズムだけ聴いていてもいいくらい。カールトンの絡みもいい。このころのサンプルは、バッキングの旨さが際立っていたが、名手だとかいうイメージは私にも世間にもなかった。だからジョー・サンプル(p) レイ・ブラウン(b) シェリー・マン(ds)のトリオで録音されたダイレクト・カッテング盤「ザ・スリー(THE THREE)」(イースト・ウィンド)が発売された時、正直、タイトルの割にはピアニストが格落ちのような印象を持った人も多いはず。しかし、ここでのアコーステック・ピアノは巨匠たちに伍して遜色ないもので、ジャズ・ピアニストとして一流であることを示した。これと、「南からきた十字軍」の冒頭曲「スパイラル」の疾走感溢れる電子ピアノ・ソロあたりで完全に彼はジャズ・ファンの心を掴んだ。以下の活躍は書かずもがな。
 クルセーダーズの諸作、ソロ名義の諸作ともほとんど持っていて、つい二週間前にも、買い損ねていた「インビティション」や、バックをつとめたランディ・クロフォードの旧盤が廉価で出ていたので買ったばかり。DVDもあるし、ネットの動画サイトで全盛時代の映像を観て楽しんだりもしている。
 短期間だったが、ヘンダーソン(tb)が残っていて、カールトン(g)がいて、ポップウェル(b)がいた時代が、もっと長くて多くのCDが残されていたら最高だったんだけど……という思いを抱いているファンは多いのではないか。
 電子ピアノのあの珠を転がすようなタッチはもう聴けない。残念。
by hiyorigeta | 2014-09-14 23:41 | 音楽・ジャズ・オーディオ | Trackback | Comments(0)

荷風散人宜しく金沢をぶらぶら歩きし、日々の生活をつづります。テーマは言葉・音楽・オーディオ・文具など。http://tanabe.easy-magic.com/


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