2015年 04月 30日
出金にオロオロ
職場には「兼六園菊桜」が数本植わっている。兼六園菊桜といえば、私達が子供の頃、本家本元の兼六園のものは、枯れかかって幹だけになっている貧相な桜の前に「天然記念物」の立て札がかかっていた。
現在のものは二代目。京都の桜守が接ぎ穂で復活させて、兼六園に返したという。残念ながらもう天然記念物ではない。
この花、花弁が二百枚以上になる珍しい八重桜だが、職場のものは、葉のほうに勢いがあり、普通の八重桜よりも、見た目、地味な印象である。
街路樹のハナミズキも白い花を咲かせ始めた。
さて、年度当初、新規に仕事関係の普通預金通帳を作ろうとしたが、その団体が実際に存在しているかどうかの確認など、昔にくらべ発行まで時間と手間がかかった。
銀行のほうも、お年寄り特有で、モタモタする私に、どこどなく面倒臭げな様子が見られたのだが、それなりの額を入金することが判って後は、微妙に話し方が丁寧になって、内心、少々笑った。ゲンキンなものである。
今日は、初の出金。通帳の表書き通りに団体名だけを書いたが、どうもダメらしい。私の名前がいるという。そこで名前を追加記入したら、今度は、名前の前に「代表」という言葉がいりますという。「そんなの先に言ってよ」と思ったが、もちろん言われたとおりにした。
この一件、通帳の額面通りに書いてはダメというところに違和感があった。確かにハンコは個人名なので、代表名を書かないと成立しないというのは 、あとから考えたら判ったが、普通、そのまま書いてはいけないなんて考えない。 ひとつひとつは細かいことである。でも、そういう風にしなければならないという「不文」の決まりごとなど、いちいち覚えきれるものではない。あれはこういうやり方で、これはこういうやり方で、というようなことが積み重なると、結局、忘れて、よく判らなくなって、年寄りは、大丈夫だろうかと不安だけが増大する。そして、またモタモタするのではないかと引っ込み思案になる。
私は、そこで、鉛筆で通帳の表に必要事項を書き加えた。(もちろん、防犯上はしないほうがよいのを承知の上である)
やれ、プライバシー保護とか公正性の確保とかの大義名分で、小さなハードルの高さが、今の世には多くなっているような気がして、少々気にかかる。