センター入試の国語が簡単すぎるのでは?

 都心で数センチの積雪があり、交通機関の乱れと気をつけるように呼びかける朝の全国ニュースを見ながら出勤。センター試験のあった昨日一昨日でなくてよかった。金沢は今日は雨。
 センター試験の問題を解く。問一は現代の人間関係論。一昨年の刀の鍔論に較べて、受験生にとって自分自身が常に悩んでいる問題でもあり、大意のとれなかった人はまずいまい。「一貫したアイデンティティー」の持ち主には生きづらい世の中となり、現代人が一面的定型的な「外キャラ」を演ずるのは、現代で必要なコミュニケーションの技法であって、「誠実」の質も変化しているのだと、現状の人間関係づくりを肯定的に評価してい る。
 ただ、この結論で終わると、「なんだ、このやり方でそれでいいんだ。」と、親しくない人には儀礼的な対応に終始し、仲間内の態度と二極分化した態度で済ましてしまう白黒型はっきり対人関係に何の疑問をもたなくなるのではないか、また、そうした意見をセンター問題に出すことで、国としてそれでいいとお墨付きを与えていると勘違いする人が出てくるのではないかと、正直、ちょっと不安な気持ちもよぎった。
 問二は短編小説。全文掲載なので前後を推測するという作業が不要のため、後は登場人物の気持ちを推察するだけとなり容易。書き方も、「私」の目から見た汽車内の出来事の話なので、エッセイ的で判りやすい。
 問三は、なんと「今昔物語集」から。説話は高校一年生の教材 で、一年レベルで充分解ける。設問も格助詞「の」の識別と大定番。問四漢文の語句も「すなはち」の二字「即」「乃」の違いを聞くという基礎中の基礎問題。

 あれあれ、こんなに簡単でいいのかしら。以前の「国語Ⅰ」と同等レベルである。
 平均は百三十点を超えるそう。一昨年が百点をきっていたから、大盤振る舞いである。ある程度実力がある人は皆、天井に張り付き、差が出ない。去年は簡単だったので、今年は少し難化させるはずという私の読みは大外れであった。ただ、統一テストの全国平均点が毎年高下するのは受験生に混乱を与える。
 簡単だった結果、理型で国語苦手な人はボロが出ずに一安心。反対に、国語でアドバンテージをと思っていた人は「この程度じゃ、困る」と、少 々残念な気持ちになっているだろう。国語だけで言うのは無理があるが、センターでの振り落としがないので強気出願となり、二次勝負色が強くなる。
 そういうことで、この二年、国語は簡単路線。一番心配なのは、理系希望者ばかりの世の中となり、ただでさえ少ない文型希望者の目標も「グローバル」発想中心となっている中で、国語は簡単だし専門でもないし、「労力かけるなら英語でしょ。」ということになって、熱心にやらなくなることになっていくのではないかと心配している。
 今の今、読んでいた阿川弘之と斎藤孝との対談でも、最近の国語教育の易化による弊害を両氏とも懸念していていて、私の今日の心配と同じである。

 ちょっと国語教養レベルの話で違うかもしれないが、一昨日の「ブラタモリ」(NHK)は熱海の回だった。寛一お宮の像から番組はスタートしたが、女性アナウンサーは「金色夜叉」をまったく知らなかった。タモリは例の有名な「♪熱海の海岸散歩する寛一お宮の二人連れ」という歌詞まで口ずさんだのだが……。教養のあるNHKアナでさえそう。今はまったくそういう文化は廃れつつある。先日の「忠臣蔵」といい、数十年後、自国文化に対する教養は、お寒いことになっているはず。(またまたの愚痴で申し訳なし)
 昔ほどお芝居やドラマの「時代もの」を見なくなったということもあるのかもしれない。NHK朝ドラ「あさが来た」も久々の「髷もの」だったそうだし。
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by hiyorigeta | 2016-01-18 20:34 | 教育・世相 | Trackback | Comments(0)

荷風散人宜しく金沢をぶらぶら歩きしたり日々の生活をつぶやいています。文字ばかりですがご容赦下さい。時々日付をさかのぼってアップしたりします。http://tanabe.easy-magic.com


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