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日本の論点

 「二〇一六年の論点100」(文藝春秋)をピックアップして読む。おそらくこの本、一時期、小論文試験のバイブル扱いされた「日本の論点」の後継本である。
例の両論併記式の編集なので、頁をまくると真っ向対立する意見のことも多く、面白いといえば面白い。
 教育分野では、国公立大学の文型学部の改組(事実上の縮小)を指示した元文科相の意見が、「昔ながらの大学でいいのか」という改革論のみで、なぜ、それが「国立文型縮小」に収斂するのかの説明は皆無で物足りなかった。反対する国立の先生の意見は、立場上、しごく真っ当。
 また、「人口・地方」分野は、人口の減少、地方消失、少子高齢化、産婦人科医不足の影響など問題山積で、じっくりと読んだ。
二〇一四年の出生数は、一九七四年の約半分という。この数字にまずびっくり。妊娠適齢期の女性自体の減少、それに、これまでもよく引き合いに出した合計特殊出生率も低下しており、トリプルで悪循環を起こし、例の、どこかで一挙に手の施しようがなくなって地方が消失するラインに近づいている。
 この項の感想は、色々、各人、意見は言っているが、浮世離れしていたり、現状分析だけだったりと、これはという意見がなかなかないというもの。皆、だだただ困っているのだろう。
 この流れを止めるのは容易ではない。昔に戻るのではなく、縮小時代の中、どう幸福度を維持しつつ生活を守るかというレベルで、安定した社会が維持できていてほしいもの。
 「高齢者の九割が「下流老人」に転落す る可能性がある」などと書かれてあると、高齢者予備軍の我々は、ただただドキドキする。
by hiyorigeta | 2016-03-05 19:57 | 日々の生活 | Trackback | Comments(0)

荷風散人宜しく金沢をぶらぶら歩きし、日々の生活をつづります。テーマは言葉・音楽・オーディオ・文具など。http://tanabe.easy-magic.com/


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