夏の美術館めぐり(1)


 今年の夏、既にふれた根岸美術館、森鴎外記念館の他、見学・鑑賞したのは以下のもの。

 「ニャンダフル 浮世絵ねこの世界」展。於七尾美術館。猫の美術展というのは時々聞くが、今回は、江戸・明治期の浮世絵に限定した、つまりは「浮世絵展」であるところがミソ。多くが当然のことながら美人画の添えものとして出てくる猫、というレベルだったのが、猫好きの歌川国芳が人間様を猫に置き換えて戯画化したあたりから俄然面白くなる。仕事尽くしの絵でも、各職業別ポーズは人間だけど、頭部は猫、つまり、例の「鳥獣戯画」の発想である。
 浮世風呂や温泉の様子を描いたものも楽しい。洗い場の客を見ると、皆、裸。体を布でゴシゴシ洗っている。確かに人間の裸体をずらっと並べたら、春画のほうに分類されてしまうかもしれないから、これで万事解決。上手い。
 国芳の弟子、歌川芳藤の巨大な猫の顔のだまし絵「五十三次之内 猫之怪」も迫力があった。
 美人画では、猫は写実主義で描かれることが多く、猫の一瞬の生態を上手に止めている。他に、愛嬌やお茶目さを狙ったものも多い。もう一系統、猫又・化け猫系のおどろおどろしいイメージのものもある。いずれにせよ、浮世絵の猫ははっきり動物の猫である。今の感覚の、ハローキティ風「きゃ!!カワイイ!」路線がないのが、意外と言えば意外だったが、よく考えたら、あの手の、子供が喜ぶカワイイ猫キャラクターという見せ方は、商業主義と結びついた、現代ならではの表現手法なのだろう。
 ということで、ミュージアムショップは、カワイイ猫キャラクターがズラッと並ぶのではないかと思っていたが、地味に、リアリズム浮世絵猫の切り出し絵柄ばかりであった。まあ、そりゃそうだ。

 七尾美術館は、結構、私はリピーターなのだが、正直、いつも閑散としている。平日とはいえ、夏休み真っ最中にもかかわらず、私がいた間にもう一人来ただけ。開館当初の元気がないのが気にかかる。



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by hiyorigeta | 2016-08-18 20:34 | 行ったところ | Trackback | Comments(0)

荷風散人宜しく金沢をぶらぶら歩きしたり日々の生活をつぶやいています。文字ばかりですがご容赦下さい。時々日付をさかのぼってアップしたりします。http://tanabe.easy-magic.com


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