2016年 09月 22日
秋の夜長はクラシックで
高校時代、この九月に体調を崩して数日休んだことなどが思い出される。四十年たっても、あの頃とあまり変わらない。家ではぐったりなので、元気な音楽より、落ち着いたものをと、最近はクラシックをよく聴く。スピーカーが変わらないので、音がよいとまでは言えないが、A級アンプの恩恵で、音に艶やかさが出て、聴きやすい。今日の祝日はCD観賞三昧。
クラシック音盤は、大昔、結構まとめて聴いていた時期があって、誰がどこのオケを振っていて、どこのレーベルと契約しているかくらいは把握していた。ちょうどカラヤン全盛時代。奏者ではグールド、ヨーヨーマあたりがお気に入りで、それなりにCDを購入した。あれから何十年、あのときと同じように、どんなCDが売られているかを色々調べた。例えば、人気指揮者は、私が知っている全集録音の次の新録音をしていて、それすら、もう相当時間がたっているなんてことになっている。間の月日を思うと、無理もない。
では、家にある名盤と言われていたレコードが、今、ちゃんと発売されているのだろうかとネットで調べてみたが、私が持っているものは、 大抵、大定番CDとしてちゃんと販売されていた。録音が古くなっても、名盤は生き残っているといった感じである。
指揮者・奏者の人気の変化も多少あるようで、あの頃は大人気だったのに、今はそうでもないというような状況の人もある。大音楽家として尊敬を集める人以外は、本人が死んでしまうと扱いが下がってしまうようなところもあるようだ。
ということで、私の知っている当時の新譜が、今や、廉価シリーズものの一枚としてお安く出ていたりする。古い録音だから値を下げているのであるが、新しい人を知らないこちらは、懐かしい当時の人気盤が廉価で手に入るのでうれしかったりする。最新録音でなくても、リマスターで音質は充分。
セルの全集に感激して以来、同じ指揮者、同じオーケストラ録音の全集ものを買ってみようかという流れで買った「メータ指揮ニューヨークフィル・ブラームス交響曲&協奏曲全集」。お買い得輸入ボックスもの。あの頃の新譜が、色々な括りでまとめられ、昔なら考えられないような価格で売っている。八枚組で三千円を切る。それに割引クーポンを使うので、実質もっと安い。
今一枚一枚聴いている。演奏の特質なんて、素人なので、よく判らない。手元の小沢~サイトウキネン盤と比較すると少し判ってくるかも、といったレベル(後で調べると、この時代のメータは、今ひとつの評価のようですねえ)。音も素人耳で問題ない。
一枚三百円程度。なんともお買い得で、大喜びなのだが、音楽CDの価値が下落しているようにも感じて、少々、複雑な心境である。何十枚セットで数千円というものもあるようだ。日本のレコード業界が、最新リマスターやSACDハイブリッド盤などといった音質重視の付加価値をつけて価格維持を図っているのも、この状況ではよく判る。聞くところによると、CD売り上げは下落しているのに、一部マニア向けに特化して、SACDの売り上げは堅調という。
不安を感じる音盤業界。でも、まあ、あまり深く考えず、せいぜい「芸術の秋」を楽しもう路線の昨今。