劇「もやしの唄」を観る

 テアトルエコーの喜劇。世間が名を知る看板俳優たちが次々亡くなって、役者陣のネームバリューは弱くなっているが、今はどこの劇団も、そんな感じなのかもしれない。
 昭和三十年代、機械化の波にさらわれ、昔ながらの製法のもやし屋は、苦しい状況に立たされている。その一家と関係の人たちを描いた「人情喜劇」といった趣きのお芝居。

 人の名前を覚えられないご主人、実は、大会社の御曹司である使用人。えらくおばちゃん然とした結婚間際の妹、子供が死んで人生を止めてしまった老人、将棋が下手な弟などが、それぞれ、その個性で笑いを取るけれど、少々やりすぎで、途中からあまり笑えなくなった。
 話の中で、当時の電気製品の話題がいろいろ出てくる。けれど、電気洗濯機を買おうか悩んでいる時代にカラーテレビ購入の話題は早すぎる。また、魔法瓶を買ったと喜んでいる時代に、オーブントースター云々の話題はおかしい。当時はポップアップ式しかなく、オーブン形式が当たり前になるのはずっと後の話。あの時代の十数年の幅での出来事が、ごっちゃごちゃになっている。
 もしかしたら、脚本家は当時を知る人ではないのかもしれない。

 もちろん、感心したところもあって、それは、くみ上げポンプ式の井戸。レバーを上下して、しばらくして水がどっと出てきていた。まさにその通り。舞台上でどうしてそんなことがうまく出来るのだろう。出色の大道具である。
 もやし小屋から小さな音がするというのが、もやしの成長の時の音なのだろうというのは、かなり最初のほうで見えていて、案の定、最後はその話だった。
 掛け合いもテンポがあって笑いが出ていたが、そうも、しっかり煮詰めていない箇所もあって、無駄な会話だと思ってしまう箇所もあった。いい話なのに、もう一息といったところだなというのが素朴な感想。

 今冬、野菜の高騰で、本当にもやしにはお世話になった。毎日、野菜の具増やしに利用した。劇中、もやしのような低価格商品で利益を上げるには云々という話も出ていたが、確かに、今も物価の優等生である。スーパーでは一袋三十円程度で売っている。
 劇を見る前日にも買ったもやし。お世話になりっぱなしのものが、そのまま舞台に出てきた感じで、「ありがたい、ありがたい。」と思いながら観ました。(2018・4・2)

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by hiyorigeta | 2018-04-23 06:54 | 観劇・映画 | Trackback | Comments(0)

荷風散人宜しく金沢をぶらぶら歩きしたり日々の生活をつぶやいています。文字ばかりですがご容赦下さい。時々日付をさかのぼってアップしたりします。http://tanabe.easy-magic.com


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