人気ブログランキング | 話題のタグを見る

上物を壊している

 家から自転車で通える距離にあった市内南部地区にあった市営プール。子供の時、本当にお世話になりました。水泳の検定もここでとりました。子供だしバタフライが出来なくて、一五〇〇メートル泳げたけど、仮一級というのをもらいました。いずれ、大きくなったらバタフライもと思っていたけど、そのまま。検定の中に飛び込みというのもあったはずで、市内に一カ所だけのここの飛び込みプールから飛び込んだ思い出があります。飛び込むと結構ふかいところまで沈む。確か水深は五メートルだったはず。今でもその水中の深い水槽の景色は覚えています。あがってくるまで結構時間がかかった。
 その飛び込みプールと、正式五〇メートルプールと、サブ扱いの二十五メートルプールがあり、子供の頃は足の付く二十五メートル中心で、ちゃんと泳げるようになってから、足の付かない大きいほうに入っていた覚えが。大学時代の夏も、ここで甲羅干ししていたはず。
 それから幾星霜。老朽化と今の公式規定から外れるということで、新プールは郊外に移り、ここは閉鎖になりました。昨年から解体工事に入っていたようで、気がつけば、更地に。初めてそれに気づいた時は、少々の感慨がありました。

 買い物にいくスーパーの前の鉄筋コンクリートの中規模病院。経営が何度も変わったあげく、解体して跡形もなくなりました。地の利はいいので、一度ケチがついたところは足が遠のくとかいうこともあるのかもしれません。地域医療も、昔より、はっきりと競争の時代になっていますからね。
 ここ数日、日中、窓を開けると工事の音が。先日、それが一般住居の解体の音だと判りました。結構間口の広い大邸宅で、瀟洒な感じの建物だったような。解体中の部材を見ても、立派なお金のかかった作りで、全然古くない。壊すのがもったいない感じのお宅でした。
 ご近所を歩いていて、父の知り合いだった方の家の前を通りました。何度もお使いで玄関までお邪魔したことがあるお宅。その方は亡くなったということはだいぶ前にお聞きしていたのですが、今はもう表札もなく、無人で、少々荒れていました。ご子孫はここを離れたのでしょう。

 昔、あちこちで建築工事をしていましたが、それは、高度成長経済中で、戦前のものや戦後たてた安普請の家を壊して、いいものに建て替えるため。工事の音にも前向きな元気さを感じていました。
 しかし、今は、一挙に訪れたインフラの老朽化という社会問題や、核家族化で家を継ぐ者がいなくなったなど、日本が直面している家族のありかたの変化によるもので、意味合いは違ってきています。
 勝手に、大きな敷地だから二分割でもして売り出すのかしらとか、お子さん世代ももう私くらいのはず。ご子孫はどうされているのだろうかとか、想像して感慨が湧いてきます。


 先日、小学校の時の友達の家の前を通りました。建物は一緒。表札を見ると姓は同じ。下の名前が知らない人でした。確か彼は長男でなかったはず。おそらく兄貴が継いでいるのでしょう。彼は元気かと、玄関チャイムを押そうかとチラリと思いましたが、やめました。でも、いざとなれば判るというのはなんだかそれだけですが、心強いものを感じました。
 今住んでいる所は自分がかよっていたの小学校の校区(こちらでは「校下」という)の端で、実家からは子供にしたら結構距離がありました。
 だから、このあたりの友達に会いに行くときは、結構遠出した気分で、それだから、慣れ親しんだというほどの地域ではないのだけど、それなりにあちこち知っているというくらいの土地勘。だからこそ、逆に印象深く覚えているということもあるのかもしれません。(つづく)



by hiyorigeta | 2019-05-18 15:58 | 日々の生活・雑感 | Trackback | Comments(0)

荷風散人宜しく金沢をぶらぶら歩きし、日々の生活をつづります。テーマは言葉・音楽・オーディオ・文具など。http://tanabe.easy-magic.com/


by hiyorigeta