2019年 05月 22日
「いしかわの神々」展を観る
今回の特別展の目玉は、能登の神社に伝わる門外不出、常時扉は閉まったままだったという神像(平安後期・重文)が、この展覧会のために外に出て金沢まで持ち出されたということで、全国ニュースにも取り上げられていたもの。
もともと人気の館でもなく、いつもはガラガラであったが、今回、平日にもかかわらず、ポツポツと見学客が来ていて、にぎわっている部類のように思った。他にもあちこちから名品を借りてきており、今回の特別展は、話題作りも含め力が入っている。
仏像ではなく神像中心というところが、今回の特色。もともと鏡とかがご神体で、人格のない観念としてとらえていたものが、仏教伝来以来、神仏習合し、仏像に倣って神像がつくられ、本地垂迹として、混ざっていく歴史的展開をうまく踏まえた展示がされていて、判りやすく、勉強になった。
神像は。だから、多く衣冠束帯の上級貴族風な風貌が与えられいて、確かに観ながら、これは仏像ではないなと判る。当然神社から借りてきたものも多いが、習合しているのでお寺からのものもある。懸仏というのは、モバイル用の仏具くらいにしか理解していなかったのですが、神鏡に現れた仏のことなのですね。まさに神仏習合。今回、一メートル超えの日本最大級の懸仏が展示されてあって、驚きました。
途中から神像を拝むというようなフュージョンが起こったり、明治には神仏分離や廃仏毀釈があったりと、日本古来の神様の観念は、強力な外来宗教が入ってきて以来、色々紆余曲折がありますね。