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「いしかわの神々」展を観る

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 石川県立歴史博物館は、もともと陸軍の兵器庫で、煉瓦造りの雰囲気のある建物。展示が古くなっていたので、リニューアルして、先年、再オープンしていたが、行く機会がなかった。行ったのは昨日午前中。

 今回の特別展の目玉は、能登の神社に伝わる門外不出、常時扉は閉まったままだったという神像(平安後期・重文)が、この展覧会のために外に出て金沢まで持ち出されたということで、全国ニュースにも取り上げられていたもの。
 もともと人気の館でもなく、いつもはガラガラであったが、今回、平日にもかかわらず、ポツポツと見学客が来ていて、にぎわっている部類のように思った。他にもあちこちから名品を借りてきており、今回の特別展は、話題作りも含め力が入っている。
 仏像ではなく神像中心というところが、今回の特色。もともと鏡とかがご神体で、人格のない観念としてとらえていたものが、仏教伝来以来、神仏習合し、仏像に倣って神像がつくられ、本地垂迹として、混ざっていく歴史的展開をうまく踏まえた展示がされていて、判りやすく、勉強になった。
 神像は。だから、多く衣冠束帯の上級貴族風な風貌が与えられいて、確かに観ながら、これは仏像ではないなと判る。当然神社から借りてきたものも多いが、習合しているのでお寺からのものもある。懸仏というのは、モバイル用の仏具くらいにしか理解していなかったのですが、神鏡に現れた仏のことなのですね。まさに神仏習合。今回、一メートル超えの日本最大級の懸仏が展示されてあって、驚きました。
 途中から神像を拝むというようなフュージョンが起こったり、明治には神仏分離や廃仏毀釈があったりと、日本古来の神様の観念は、強力な外来宗教が入ってきて以来、色々紆余曲折がありますね。

 せっかくなので、常設展も見学。旧展示を一掃し、古代からてきぱきと時代の変遷を説明している展示のしかた。出土品などの現物展示はわざわざ極力抑えて映像やジオラマなどで親しんでもらおうという意図のようであった。最後のほうの昭和のお茶の間復元なんて、私がよく覚えている日常空間がそのままあって、実際、畳に上がれるので、そのままゴロンと横になりたい気分であった。もう、こういう白黒テレビに卓袱台の空間は博物館展示の世界で、自分は、もう、やっぱり充分立派な年寄りなのだなあと、しみじみ思いました。

 外では国立近代美術館工芸館建設のため、旧偕行社・九師団司令部移築のための工事が進められていて、GWの喧噪が済んで静かさを取り戻している本多の森に槌音が響いていました。

 暇になったら行こうと思っていたところを、今年は、焦らず、ぽつぽつと行ってみたいと思っています。

by hiyorigeta | 2019-05-22 07:14 | 行ったところ | Trackback | Comments(0)

荷風散人宜しく金沢をぶらぶら歩きし、日々の生活をつづります。テーマは言葉・音楽・オーディオ・文具など。http://tanabe.easy-magic.com/


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